みんなの恋愛をわたしは知らない

イラスト(装画):石川飴子

みんなの恋愛をわたしは知らない。 新しい恋愛

高瀬隼子

Junko Takase

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Introduction

作品紹介

人を好きになるってどういうこと?

芥川賞受賞のベストセラー
『おいしいごはんが食べられますように』著者が放つ〈恋愛〉小説集!
5つの〈恋〉を描くモヤゾワ短篇集。

Episode01

「花束の夜」

ひそかにつきあっていた
先輩社員が退職、
その送別会の夜に……。

Episode02

「お返し」

バレンタインデーに渡されたのは、
チョコレートだけでは
ないのかもしれない。

Episode03

「新しい恋愛」

プロポーズされたくない
25歳の私と、
まっすぐに恋愛を語る
中学生の姪の2日間の物語。

Episode04

「あしたの待ち合わせ」

狛村くんはずっと私が好きだ。
私は好きではないけれども、
手放したくはない。

Episode05

「いくつも数える」

50歳課長の「歳の差婚」を
きっかけに社内に広がる
モヤモヤと思いがけない波紋。

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マンガ:藤沢チヒロ

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書店員さんコメント

空気を読んで飲み込んだ気持ち。行き場を無くした後ろめたい感情。登場人物達の心情がリアルで「あーわかる!わかる!!」と思わず声に出して共感した。何度でも読み返したくなる一冊だ。

(文真堂書店ビバモール本庄店新井さゆりさん)

「ほっとけよ」という感情を言葉にしてくれる高瀬さんの作品が大好きです。今作も、やめとけばいいのに、とか、気にしすぎだから、大丈夫だから!と何回も思いました。

(紀伊國屋書店さいたま新都心店大森輝美さん)

「おいしいごはんが食べられますように」もそうですが、胸キュンの恋愛ストーリーではなく、どこか影が刺すような恋愛。ホラーとラブストーリーを行き来するような展開に、ぞわつくばかりです。

(TSUTAYAサンリブ宗像店渡部知華さん)

すごく好きな短編集でした。いつまでも忘れずに覚えているような恋愛を、ひとりひとつずつ教えてもらったような気持ちです。

(紀伊國屋書店高槻阪急スクエア店北辻祥子さん)

女友達と集まれば、恋バナに興じていた時間が懐かしい。自分の恋愛、他人の恋愛の話の、どこがそんなに夢中にさせたのか今ではよくわからない。それなのに、高瀬さんの描く恋愛模様は興味津々だ。誰にも明かしていない心の裡を掘り当てられるせいだろうか。自分は好きじゃないけど、一方的に好きでいてほしいとか。好きなら構わないのに、友人の選んだあの彼で良いのだろうかと内心思ったこととか。恋愛の感覚にだってジェネレーションギャップはあんのかなって読み終わって考えたりした。この本を読み終わった誰かと、恋愛について赤裸々に語り若干引かれてみたいような気もした。高瀬さん! 私の一編も載せちゃーくれませんかね、笑

(未来屋書店大日店石坂華月さん)

恋愛ってこんなに恐ろしい心を浮き彫りにして、その怖さにたじろぎながらも心を鷲掴みにするものだ。でもできれば、秘密にしたいけど、節々に共感した。

(ジュンク堂書店滋賀草津店山中真理さん)

この短編集を読んで、いい意味で「恋愛」ってなんなのか、ますます分からなくなりました。ただそれだけではなくて、「なんなのかを分からなくて良いのでは」という思いも抱きました。短編それぞれ、出てくる登場人物たちがすべての感情が複雑で、意味が分からなかったり共感が全然出来なかったり、けれどそれぞれの考え方や選択、ストーリーの終わり、すべてがストレスなく私の中に入り込み、共感出来ないのに、出来ないまま溶け合って完成するような、不思議な読後感を持ちました。

(田村書店吹田さんくす店村上望美さん)

人の数だけ恋愛の形があり到底他人には理解出来なくても、恋をする本人だけの想いはれっきとした一つの恋愛であり人生でもある。みんながいつも胸きゅんしている訳でもなく色々な恋愛を知ることで自分と言うものを見つめ直せたら、今悩んでいる時間も決して無駄じゃないよと知るだろう。

(BOOKSえみたす富士吉原店望月美保子さん)

女の考える面倒臭さを高瀬さんはなぞるように読ませるから嫌んなる!

(未来屋書店宇品店河野寛子さん)

恋愛小説と聞けば誰もが真っ先に王道のラブストーリーを思い浮かべると思うし、健全な男女の至極真っ当な恋愛が描かれていて、感情移入しながら自身を投影し陶酔しがちなのですが、高瀬さんまさかそう来ますか。これを恋愛小説と呼んでしまうのか!と思いました。「新しい恋愛」はまさに目からウロコが落ちる作品で思わず唸ってしまいました。恋愛を語る上ではマイノリティな人々の何とも言い難い複雑かつ微妙な心情が絶妙なタッチで描かれています。どの短編をとっても共感出来る部分が少なすぎて、逆に入り込み過ぎないように心に距離を置いて読むのですが、表題の「新しい恋愛」では最後の美寧々の語りに思わず納得しかけてしまい、自分の価値観を揺るがす問題作だと思いました(褒めてます)。ちょっと穿った恋愛小説。従来のラブストーリーに飽きた方には是非令和の新しい恋愛をお勧めしたいです。

(有隣堂たまプラーザテラス店原田明美さん)

自分の若い頃は恋愛結婚するのが「普通」だと思っていたけれど親世代はお見合いが主流だったし、今の若いひとはマッチングアプリを使って条件の合うひとを探して恋愛したり結婚したりすることが増えているという。普通というのも時代によって変わるものだな。ではマッチングアプリが流行らなくなったその先の恋愛事情はどうなっていくんだろう。ひとがひとを好きになるその気持ちは不変だけど恋愛とか結婚の形は不安定なものなのだと感じた。恋愛関係、ひいては人間関係のざわつく感じが鋭く描き出されていて『おいしいごはんが食べられますように』を読んだ時のようなヒリヒリとした気持ちを思い出しました。

(水嶋書房くずはモール店井上恵さん)

どの恋愛の話も共感できるところが多く、恋愛とはいったいなんなのだろうか?と改めて考えさせられる作品なのではないでしょうか。人が人を好きだと思う気持ちに嘘はないとは思いたいけれど他人から見たそれって本当に真実だろうか? そこに本当に嘘はないのか?でもきっとその人にとってはそれが真実なのだろうとも思うし、気持ち悪いなと思ってしまうのもまた人それぞれだし…人の気持ちってままならないなぁと思いました。

(未来屋書店高崎店吉野千鶴さん)

それぞれの価値観での恋愛が共感できるもだったりそうでなかったりしましたが、いろいろな形があってよいのだと思わせてくれました。

(九大伊都蔦屋書店峰惠香さん)

「新しい恋愛」(表題作)はジェネレーションギャップをすごく感じ驚いた作品だった。私は知星の考え方に近くロマンチックなことが苦手で怖いと思っているがそれを人に伝えても理解されないので、知星の説明に「そうそう!」と思いながら読んだ。美寧々がお父さんとリアル恋バナしてたのはゾワッとしてしまった。そして中学生だからなのか美寧々の性格なのか純真さ剥き出しの感じが怖かった。「わたしは、欲しい言葉を差し出せる人ではなくて、欲しくない言葉を突き付けてこない人と暮らしていきたいのだ。」にグッときた。

(有隣堂キュービックプラザ新横浜店加藤理沙さん)

ゆらゆらと、心揺らめく5編のラブストーリー。ドキッとしたり、モヤモヤしたり、ざわざわしたり、胸にさざ波が立つような心の機微に、深く魅了されました。そして、十人十色の恋愛模様に、新しい感情が生まれるようでした。
周囲の風評で好きが変化!?
過去の好きに気づく、時差的恋愛!?
好きと執着は表裏一体!?
結婚したくないけど別れたくない矛盾愛!?
マイノリティな恋愛は受け入れ難い!?
まるで天気のように移り変わる人の気持ちこそ、複雑で難解で繊細なものは、ないのかもしれない。新しい恋の定義に、パチッと目が覚めるような新感覚恋愛小説。
読後、ニュートラルな関係を突き抜けた、爽快な気持ちが込み上げました!

(紀伊國屋書店福岡本店宗岡敦子さん)

どんな分類にも当てはまるけれどどこにも属さない恋愛。なんとなく、この雰囲気はきっと、わかる。核心を書いてあるわけではないのに手に取るようにわかる。気持ちと温度と衝動が伝わってくる。高瀬さんの作品は胸にひっかき傷みたいに残る。涼しくて静かな狂気だ。とても、好きです。

(福岡金文堂志摩店伊賀理江子さん)

恋愛小説なのに、なぜこんなに不穏なのだろう? 恋愛は、もっと楽しくキラキラしていて眩しいものではなかったか。ここで描かれる恋愛はどれも一筋縄ではいかなくて、それでいて井戸の底を覗き見るような不穏な魅力に満ちている。これぞ「ぞわラブ」。

(くまざわ書店松戸店加藤敏之さん)

今まで読んだ恋愛小説とは一線を画しどの話も恋愛のキラキラではなく、ゾワゾワしたり、悩んだり、恋愛のあやふやな部分を逃さずに突きつけてくるようでした(褒め言葉です。とってもとっても好みな話ばかりでした)

(宮脇書店新屋島店三浦はるかさん)

小さい頃もおとなになってからもいつでも恋愛にはぞわぞわが潜んでいると思った。

(金沢ビーンズ明文堂書店長谷川名さん)

ひとの恋愛感を覗き見した感覚。わかるような、わからないような。でも恋愛ってそういうのがおもしろい。読む年齢により考えも感じ方もかなり違うと思うので、さまざまな人の感想が気になるし、この本を元に読書会をしたらすっごく盛り上がりそう!

(CHIENOWA BASE鈴木智春さん)

友達には言えない恋愛や感情を客観的に覗いている感覚で、ちょっと怖いなと感じたり、分かると思うところもある短編集だと思いました。

(紀伊國屋書店久留米店富田智佳子さん)

蛙化現象どころではない。とんでもなく歪な恋愛にざわつきが止まらない。それでも、手放せない甘さや切なさもあったり、恋愛って厄介だ。正しい恋愛なんてないって、頭では分かってるのに、心が追いつかずに、正しさを求めてしまうのはなぜなんだろう?恋愛や結婚が途方もなく難しいものに思えてきました。

(紀伊國屋書店天王寺ミオ店西澤しおりさん)

表題作の「新しい恋愛」の主人公の「プロポーズされたくない」気持ち、なるほどなあと思いつつ、でもこの気持ちは相手には理解されにくいかもなあ…ここから大変なんじゃないかなあ…と、考えたところでハッとした。どの話の人もそうだ。相手や周りの理解は得られていない。実際にもそうなのかもしれない。普通の恋愛をしてそうな人だって、言わないだけで、抱えている何かはあるのかもしれないな、と思った。

(ジュンク堂書店松坂屋高槻店西本裕子さん)

人間の心理って本当複雑でややこしいんだなって改めて思います…もう何が正しくて正しくないのか…なにが普通で普通じゃないのかわからないです!!

(紀伊國屋書店名古屋空港店土屋彩乃さん)

ゾワゾワする嫌な感じ、が最初の短編「花束の夜」に一番よく出ていたように思う。倉岡、水本それぞれの身勝手さ、汗が滲むように人生が侵食されていく雰囲気が気分が悪くなるようで良かった。「新しい恋愛」「あしたの待ち合わせ」の、時々ぎょっとするようなエピソードも気に入った。高瀬さんの書く良識の陥穽が好きなのだと改めて感じた。

(紀伊國屋書店上智大学店石澤可菜子さん)

合理的な社会の中では非合理的な個人の恋愛感情が他者の目や価値観によって抑圧されるからこそ恋愛感情はややこしいのだなあと気づかされました。言語化できなかった恋愛のいや〜な部分の正体が垣間見れてよかったです。

(紀伊國屋書店西武東戸塚S.C.店鶴見祐空さん)

今作の登場人物も、いつもに増してひねくれていて、いい感じにぞわっとしました。高瀬さんの小説を読み終えるとき、現代的自我に向き合わざるを得なくなるような気がして、しばらく呆然としてしまいます。

(Lounge B books桐谷明宗さん)

人の数だけ違った恋愛観があって、同じ人の中でも、時間の経過や心の成長に伴って、恋愛の形やあり方は変わっていくんだなって思いました。恋愛の奥深さや魅力を身にしみて感じられる素敵なお話でした。

(未来屋書店各務原店小口愛月さん)

恋愛って実は利己的で歪んでいるものなのかもと思わせられました。恋愛小説なのにゾクっと怖い、高瀬さんワールド全開の一癖ある物語たちばかりです。ホラーよりも人間の方がよっぽど怖いですね。

(未来屋書店水戸内原店廣木里美さん)

確かに自分以外の恋愛は知らないけれど、きれいな感情ばかりではないことも解っているつもりだけれど、いざ突きつけられると胃の裏側が冷たくなるような感じがします。

(未来屋書店小山店松嶋真知子さん)

今まで自分が読んできた恋愛小説がとんでいってしまうような短編集でした。自分がずっとモヤモヤして燻っていた気持ちが、高瀬さんの文章で鮮明になるのがすごすぎるなと思います。

(未来屋書店秋田店佐藤香奈子さん)

他人の普通が強烈な違和感をもって私を侵食する。自分の普通も他人にとってはそうなのかもしれないとざらついた気持ちで読み終えた。

(有隣堂藤沢本町トレアージュ白旗店小出美都子さん)

恋愛短編集なのだけれど、世に言う「きゅん」の真逆にある恋愛のお話たち。結局、色恋って欲だから、そこには他人のを見ても、自分のこととしてみても一種の気持ち悪さがあるよな、と若い頃に恋愛を考えるときには思いもしなかったような感想をもった。

(未来屋書店四條畷店安藤由美子さん)

友人や恋人には言えないようなモヤモヤが物語に散りばめられていて、共感も抱きつつ、痛いところを突かれてギョッとしてしまうような…高瀬さんワールドでしか味わえない読後感でした。

(うつのみや金沢工大前店寺井里緒さん)

人の心の中は素直で真っ黒だ。素直に受け止められる人と受け止められない人の差はなんだろうと考えさせられる。薄気味悪いホラーを感じました。

(未来屋書店武蔵狭山店柴田路子さん)

ゾワゾワ「恋愛」小説集に偽りなし。どの作品もゾワっとして、それでいて「わかる」んです。黒歴史を思い出す時のような言葉に表せない感情と共に、確かに覚えのある感情を掘り起こされる恐怖が胸に渦巻きました。

(ジュンク堂書店旭川店松村智子さん)

恋愛の肌触りって、ドラマでキュンとするような、もっと甘くて柔らかだと思っていたのに、こんなに獰猛な一面があるなんてまるで何も見えていなかった!

(ジュンク堂書店名古屋栄店西田有里さん)

やっぱり何かぞわぞわしてしまう。この綱渡りのような感覚を読書で味わえるのがすごくいい。一筋縄ではいかない5つの恋愛。そこに絡まる価値観。読んだ人同士で語り合いたくなるものばかりが詰め込まれてて最高。

(宮脇書店ゆめモール下関店吉井めぐみさん)

高瀬さんの感情の表現がとても好きで今回もわかるわ〜と何度呟いたことか。期待通り最高でした。

(フタバ図書TSUTAYA TERA広島府中店沖野めぐみさん)

共感するより理解できないケースがあって当たり前。恋愛は甘いだけじゃない、人の数だけ違うかたちがある。それが自分と遠ければ遠いほどクセになる。

(ジュンク堂書店郡山店郡司めぐみさん)

こわい。そんな感情もわいてくる不思議な恋愛ストーリー。誰かにとって愛であっても、また別の誰かにとっては負である。当人同士にしか、その想いや真実はわからない。

(有隣堂グランデュオ蒲田店古藤やすらさん)

どの話も最後には心がぶち抜かれる。共感の嵐。最高で刺さったなにかが抜けなくて忘れられない短編集でした。

(紀伊國屋書店梅田本店辻本彩さん)

美しい宝石や花束のような恋愛。世の中に溢れるそんな作品とは一線を画すビターな物語たち。自分に優しい、それがどうした。とどのつまり、恋愛ってエゴ。みんなのリアル、ここにあります。

(蔦屋書店熊谷店加藤京子さん)

おばけも出ない。殺人も起こらない。なのに一ページごとに心臓を他人に撫でられているような感覚がして、とてもじゃないけど一気読みなんてできやしない。どの主人公にも、「わかる」より「わかりたくない」を抱いた小説は初めてかもしれない。

(未来屋書店川口店小此木望さん)

心臓がバクバクする。誰にも知られないように心の奥に仕舞い込んだ感情を、まるごと暴かれてしまったようだ。恋愛小説であるはずなのに、始終何か良くないことが起こりそうで、不穏な空気が立ち込める。新感覚の恋愛小説で、どの短編も結末が予想できず、一体どうなってしまうんだろうと夢中になって読みました。

(明屋書店喜田村店高橋杏奈さん)

自分の恋愛観がゾワゾワと揺さぶられました。人は人を好きになると、きっと正常と異常の狭間に落っこちてしまうのかもしれない。今一人で恋愛のモヤモヤを抱えている人に読んでほしい作品です。

(未来屋書店新浦安店中村江梨花さん)

共感する部分もあり、何とも言えない恐怖も感じ、ゾワゾワとする恋愛小説でした。

(久美堂玉川学園店松原沙莉さん)

高瀬さんの作品を読むと、自分の心の黒い部分を自覚させられる感覚に陥ることが多いです。今作も心の内側に冷や汗をかくような気持ちになりましたが、やめられません。つい読んでしまいます。

(草叢BOOKS新守山店石田祥さん)

恋愛小説なのは間違いないのに、読んでて背筋がぞっ…としました。

(真光書店北口本店小林あさかさん)

ありふれた日常生活の中、主人公たちのめまぐるしく動く感情が一つ一つ細かく丁寧に描かれていて、共感できてもできなくてもどうするの?どうなるの??と読み手の感情がしっかり揺さぶられ魅せられたお話ばかりでした。

(ジュンク堂書店松山三越店木崎麻梨子さん)

リアルな会話に、情景が鮮やかに浮かび上がりました。恋愛にまつわるあれこれのリアルさが読みながらじわじわとしみ渡りました。

(未来屋書店つくば店櫻井よう子さん)

痛快とは、「胸がすくほど気持ちがいいこと」だという。高瀬さんの作品を読む時、いつも感じるのは、痛みと心地良さ。私にとっての「痛快」。普段は意識に上らない、あるいは敢えて見過ごしているような厄介な問題や感情を目の前に突きつけられて、傷でもついたかのような痛みを覚える。と同時に、意識させられることによってなぜか心地良さ、痛快さを感じたりする。恋愛における機微、不可思議さ、痛ましさ、不快さ、何だか訳のわからないモヤモヤ。この作品でも「痛快さ」は健在で、痛心地よい、高瀬さん作品特有の作用が私を包み込んだ。

(六本松蔦屋書店峯多美子さん)

自分の恋を棚に上げて、他人の恋を否定したくなる人が多い。その理由がわかった。あほらしい、気持ち悪い、羨ましい。それらが混ぜ合わさった感情が、俺の胸の中でもぐるぐると巡っている。

(BOOK COMPASSニュウマン新宿店成生隆倫さん)

読み終わって「あ〜〜〜」と顔を覆いたくなってしまいました。他人には確認したことないけれど、人間関係ってこう言うところあるよね、と思っていることが書かれていて、良かった、私だけじゃなかったんだ、と安心しました。

(未来屋書店碑文谷店福原夏菜美さん)

全員が納得できる恋愛はないが、色んな愛情にかき回される人の思いも寄らない行動はやはりいつも愛おしく見える。そして恋が連れてくる名前のない感情をゆっくりと身体に馴染ませることで、静かに漂うような新たな気づきが生まれる。ままならない人生を描き続けた高瀬さんだからこそ表現できた素晴らしい小説だと思う。

(大盛堂書店山本亮さん)

かくも人間とは「恋愛」が絡むと無様でみっともなくなるのだろうか。片想いは当然として、両想いだとしてもその愛の質量・総量には差があり、そこで生じる違いが恋愛における主導権を奪い合う。優位な立場であることを知った“あの瞬間”の醜さよ。狡さよ。悪どさよ。高瀬さんはいつだって笑顔で突き付けてくる「でもアナタもそうだよ」と。そしてその事に動揺させられる読書が私は嫌いではない。誰にもバレずに内心狼狽える自分に出会えるのは面白いからね。

(紀伊國屋書店仙台店齊藤一弥さん)

どれもこれも共感出来そうで出来なさそうで、つい「怖っっ」って呟いてしまいました。

(未来屋書店名取店髙橋あづささん)

恐怖と共感と違和感でもやもやゾワゾワが止まらない。読み終わった後、誰かと語りあいたい恋愛小説。面白かったです。

(有隣堂武蔵小杉東急スクエア店床島千波さん)

自分の身近にもありそうな出来事が、切りこむ角度を変えるだけで、こんなにも落ちつかない感情を引きおこすものになるだなんて!平凡だと思っている毎日を疑いたくなる物語の数々に背筋がむず痒くなりました。

(福岡金文堂行橋店富山未都さん)

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高瀬隼子

Profile

著者プロフィール

高瀬隼子

高瀬隼子(たかせ・じゅんこ)

1988年愛媛県生まれ。東京都在住。立命館大学文学部卒業。2019年、「犬のかたちをしているもの」で第43回すばる文学賞を受賞し、デビュー。2022年、「おいしいごはんが食べられますように」で第167回芥川賞受賞。2024年、『いい子のあくび』で第74回芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。著書に『犬のかたちをしているもの』『水たまりで息をする』『いい子のあくび』(いずれも集英社)、『おいしいごはんが食べられますように』(講談社)、『うるさいこの音の全部』(文藝春秋)、『め生える』(U-NEXT)がある。

Book

書誌情報

『新しい恋愛』表紙

『新しい恋愛』

高瀬隼子

発行
講談社
定価
1,760円(税込)
判型
四六判上製
ISBN
978-4-06-536802-2

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